給与計算代行(アウトソーシング)とは?メリット・デメリットと依頼できること

給与計算代行(アウトソーシング)とは?メリット・デメリットと依頼できること

給与計算代行(アウトソーシング)とは、企業が自社の従業員の給与計算を代行するサービスのことをいいます。

 

給与計算代行には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

導入の際には、メリット・デメリットを理解する必要があります。

 

今回は、給与計算代行(アウトソーシング)とは?メリット・デメリットと依頼できることをご紹介します。

給与計算代行(アウトソーシング)とは?

給与計算代行とは、企業が従業員の給与計算を外注することをいいます。

「給与計算アウトソーシング」とも呼ばれます。

給与計算代行は、給与計算だけでなく年末調整や、住民税更新代行などの依頼もできます。

 

給与計算代行で『負担が減らせる』

給与計算は企業の規模が大きいほど、計算も複雑になり時間がかかります。

また、給与計算の業務をしていく上で、法令改正の際に行われる説明会に従業員を参加させて専門知識の維持など、社内で行うにはコストがかかります。

そのため戦略的に代行を選ぶ企業も増えています。

 

給与計算代行は『経営戦略』

給与計算は、企業の利益を生まない業務な上、負担も大きいです。

給与計算をやめることで、本来の業務に力を入れることができます。

給与計算代行は単なる代行サービスではなく、企業を成長させるための経営戦略と考えられています。

 

給与計算代行の利用率

日本での給与計算代行の利用率は10%程度といわれています。

世界での利用率は、アメリカで70%以上。

ヨーロッパやアジア、中南米で60%以上になります。

給与計算代行は、日本での利用率が低い状況にあり、世界に後れを取っています。

給与計算代行(アウトソーシング)のメリット・デメリット

給与計算代行のメリットとデメリットをご紹介します。

給与計算代行のメリット

  • (1) コア業務に注力
  • (2) トータルコスト削減
  • (3) 人件費・残業時間の削減
  • (4) 業務に人が張り付かない
  • (5) 法改正への対応が不要になる
  • (6) ミス削減

 

(1) コア業務に注力

給与計算を外部に委託することで、従業員をコア業務(利益を生む業務)に配置することができます。

給与計算は企業が必ず行わなければいけない業務ですが、ノンコア業務(利益を生まない業務)です。

給与計算を代行することは、従業員を利益を生む業務に配置するための経営戦略と考えられています。

 

(2) トータルコスト削減

給与計算を自社で行うと、人材確保や社員教育、給与計算のための機材などコストがかかります。

外部に委託すると、かかるコストは、給与計算という“結果”だけになります。

給与計算代行の導入でコストが増えてしまう場合もありますが、総合的に見ればメリットは大きいでしょう。

 

(3) 人件費・残業時間の削減

年末調整や住民税更新など繁忙期があります。

会社規模によっては、人材調整が上手くいかないこともあるでしょう。

だからといって繁忙期のためだけに増員をするわけにもいきません。

給与計算代行では、給与計算を外部に委託するため、人件費や残業代の問題がありません。

 

(4) 業務に人が張り付かない

給与計算は専門性が高いため、どうしても同じ担当者が行う場合が多いでしょう。

しかし、同じ担当者だけが行っている場合は、現状で問題がなくてもリスクが考えられます。

  • 担当者が休職したり、退職した際に業務が滞る
  • 同じ人が確認するためミスに気付きにくい

 

(5) 法改正への対応が不要になる

給与計算の専門企業では常に最新の法令改正など情報収集をしています。

そのため、法令改正説明会に参加する必要がなくなります。

給与計算代行は、計算だけでなく、情報収集や教育にかかる負担も減らすことができます。

  • 雇用保険料率の変更
  • 社会保険料率の変更
  • 最低賃金の変更

 

(6) ミス削減

給与計算は複雑で正確な計算が求められます。

チェック体制が整っていないまま、業務を行ってしまうとミスにつながります。

給与計算の仕組みがしっかりしている専門家に依頼することで、ミス削減が期待できます。

給与計算代行のデメリット

  • (1) 一部の業務は社内に残る
  • (2) 社内で対応ができなくなる
  • (3) ノウハウの蓄積ができない
  • (4) 社内情報の漏えい
  • (5) 初期設定費用がかかる
  • (6) コスト増加
  • (7) 委託先の選定

 

(1) 一部の業務は社内に残る

給与計算を外部に委託しても、勤怠管理や設定などの業務の一部が社内に残ることになります。

給与計算に関わる全ての業務を委託できるわけではありませんが、給与計算の大半の業務は委託することができるでしょう。

 

(2) 社内で対応ができなくなる

給与計算を外部に委託すると、社内で対応ができなくなる可能性があります。

給与計算代行では、修正も依頼が必要になってしまいます。

また、修正などは追加料金がかかる場合が多いので注意が必要です。

 

(3) ノウハウの蓄積ができない

自社の給与計算のノウハウが失われてしまうことが考えられます。

給与計算代行を利用する期間が長いほどノウハウが失われてしまうでしょう。

そのため、再び自社で給与計算を行わなければいけない状況になったときの対策も考える必要があります。

 

(4) 社内情報の漏えい

給与計算を外部に委託する場合、社内の情報を社外へ渡す必要があります。

依頼した企業の情報管理の方法によっては情報漏えいの危険性もあります。

プライバシーマークを取得している企業ですと安心できますが、ネットに常時接続されている現代では、100%安全と言い切ることはできないでしょう。

 

(5) 初期設定費用がかかる

給与計算代行を導入するときに初期設定費用がかかる場合が多くあります。

また、契約期間も数ヶ月からなど制限が設けられている場合もありますが、導入はいつもより費用がかかるでしょう。

 

(6) コスト増加

会社の規模や料金プランによりますが、コストが増える可能性があります。

プランによっては年末調整や住民税更新だけ委託することもできます。

サービス内容が自社にあっているか確認が必要です。

 

(7) 委託先の選定

委託先を探すには、時間がかかるでしょう。

また、多くの場合は初期設定などの時間も必要になるので、給与計算代行の導入は「今すぐ」とはいきません。

給与計算ソフトのメリット・デメリット

給与計算ソフトとは、給与計算や年末調整、税金などを処理するソフトです。

正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員などの雇用形態にも対応しています。

勤怠管理のシステムや人事システムと連携できる製品もあり、有休や残業などのデータや昇給などの情報も反映し、給与計算を行うことができます。

給与計算ソフトのメリット

  • (1) 各種システムと連携が可能
  • (2) 社内にノウハウが蓄積される
  • (3) 法改正にも対応可能

 

(1) 各種システムと連携が可能

給与計算のなかで、時間と工数がかかってしまう出退勤データの集計作業。

この工程でミスが起きると、給与の支給にも影響が出てしまうため、間違いの許されない作業になります。

手動での入力だととても大変ですが、給与計算ソフトだとタイムレコーダーなど他のシステムとの連携が可能なため、勤怠データの取り込み・集計が簡単に行えるようになります。

 

(2) 社内にノウハウが蓄積される

給与計算ソフトを使用する場合は、自社で運用することができます。

給与計算に関するノウハウや情報を蓄積することができ、問題が起きた場合などにもスムーズに対応することが可能です。

 

(3) 法改正にも対応可能

保険料や税率に変更があった場合、更新することで以降の計算作業を修正することができます。

法改正などがあった場合に自動的にアップデートする製品もあります。

手作業で反映させていくよりも素早い対応ができます。

 

給与計算ソフトのデメリット

  • (1) バックアップ・バージョンアップが必要な場合も
  • (2) 社内のリソースが必要

 

(1) バックアップ・バージョンアップが必要な場合も

法改正など変更があった際に、インストール型のソフトの場合は、手動で変更をしなければならない場合があります。

また、データが消失してしまう場合に備えてバックアップ対策も必要になるため、ソフトによっては手間がかかってしまう可能性もあります。

 

一方クラウド型の給与計算ソフトは、定額の料金内で自動的に内容を更新してくれるソフトもあります。

 

(2) 社内のリソースが必要

給与計算ソフトを使用することで、大幅な業務効率につなげることができますが、このソフトを運用する人員が必要です。

担当者が変更になる場合、新たな人員を教育していく時間や手間がかかる可能性があります。

給与計算代行(アウトソーシング)で依頼できること

給与計算代行では、給与計算以外も依頼することができます。

給与計算代行で依頼できる主な業務をご紹介します。

年末調整代行

繁忙期が年末から年初に限られる年末調整を外部に委託することができます。

給与計算・賞与計算業務を委託していない場合でも、年末調整のみ期間限定で依頼するケースもあります。

給与計算の中でも年末調整は、手間に感じる作業が多いため助かりますね。

 

振込・納税代行

給与計算の結果の給与振り込みデータの作成や振り込み、税金の納付の代行が依頼できます。

給与計算代行に追加で依頼されることが多いです。

 

住民税更新代行

住民税の更新は毎年5月から6月に発生します。

年末調整と同じく繁忙期が限られる業務です。

そして、地方税である住民税は市区町村とのやり取りの中で特別徴収額通知など、紙をたくさん扱う必要があります。

 

ネット対応が遅れている市区町村も多いため、時間的なコストがかかってしまいます。

給与・賞与の計算は自社で行って、時期が限られた住民税更新だけ委託するという企業も多いです。

 

給与計算代行(アウトソーシング)の導入検討ポイント

下記のポイントに該当する場合は、給与計算代行の導入を検討するとよいでしょう。

  • 従業員数が10名以上の中小企業
  • 人材確保が難しい
  • 担当者が兼任している
  • 副担当がいない
  • 専門知識をもった担当者がいない
  • ミスを減らしたい
  • 計算が複雑になっている
  • 人件費・残業代に費用がかかっている

給与計算代行(アウトソーシング)の企業の選ぶ際のポイント

給与計算代行の企業選びの際に、確認すべきポイントがあります。

選ぶ際は費用面だけではなく、期待するメリットを得られるかが重要になります。

情報管理の安全性

機密情報をどのように扱うか、情報管理の安全性と信頼性をチェックしましょう。

 

専門性と対応力

給与計算に対して必要な専門知識を持っているか、依頼する業務に対応してもらえるかをチェックしましょう。

 

スピードと柔軟性

細かい要望にも対応してもらえるか、また何かあった際は迅速な対応してもらえるのかサポート体制をチェックしましょう。

 

料金

給与計算代行にかかる費用が、現在の給与計算にかかる費用を大きく超えてしまっていないかを確認しましょう。

もし予算を超えてしまっていても、業務の負担が減らせる・メリットがあるなら、導入を検討してみてもよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか。

今回は給与計算代行(アウトソーシング)とは?メリット・デメリットと依頼できることをご紹介しました。

 

給与計算代行は便利ですが、デメリットもあります。

導入時は自社の状況とコストや依頼先などを検討が必要になります。

 

その分、給与計算代行を導入したときのメリットは大きいです。

給与計算代行を経営戦略として活用することができれば優位に立てるでしょう。

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給与計算は毎月行わなければならない業務の一つです。

  • 従業員の回答ミス・修正作業
  • 問い合わせの対応

など、担当者の負担はとても大きい業務です。

 

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