毎年秋ごろ引き上げとなり、ニュースにもなっている最低賃金。
この最低賃金、制度としてどのようになっているのかご存知でしょうか。
今回は、最低賃金の計算方法をご紹介します。
最低賃金制度とは?
最低賃金制度とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定める制度です。
最低賃金は、
・公益代表
・労働者代表
・使用者代表
で構成される「最低賃金審議会」で、賃金の実態調査の結果などをもとに決定しています。
また、使用者は最低賃金を労働者に周知する必要があります。
最低賃金の種類
最低賃金には、2つの種類があります。
地域別最低賃金
地域別最低賃金とは、産業や職種に関わらず、各都道府県内の事業場で働くすべての人に対して適用される最低賃金のことです。
各都道府県に1つずつ設定されているので、全部で47件の最低賃金が定められています。
特定(産業別)最低賃金
特定(産業別)最低賃金は、特定の産業で設定されている最低賃金です。
「地域別最低賃金」よりも高い最低賃金を定めることが必要と認める産業に、この特定最低賃金が設定されています。
例として北海道では、
・鉄鋼業
・情報通信機械器具製造業
・船舶製造・修理業
・処理牛乳・乳飲料、乳製品、糖類製造業
などが特定最低賃金に指定されています。
これら二つの賃金の両方が適用される場合は、二つのうち高い方が適用されます。
最低賃金の計算方法
時間給
時間給は「時間給≧最低賃金額(時間額)」で計算します。
日給
日給は「日給÷1日の所定労働時間=時間額≧最低賃金額(時間額)」で計算します。
※日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合は、「日給≧最低賃金額(日額)」で計算します。
月給
月給は「月給÷1ヵ月月平均所定労働時間=時間額≧最低賃金金額(時間額)」で計算します。
出来高払制・請負制によって定められた賃金
「賃金の総額(出来高払制そのほかの請負制によって計算された賃金の総額)÷総労働時間(当該賃金算定期間において出来高払制そのほか請負制によって労働した総労働時間数で除した金額)≧最低賃金額(時間額)」で計算します。
最低賃金制度の対象者とは?
地域別最低賃金は、雇用形態に関係なく、
・パートタイマー
・アルバイト
・臨時
・嘱託
など、雇用形態や呼称に関係なく適用されます。
特定最低賃金の適用は、特定の産業の労働者とその使用者に対してです。
ただし、18歳未満・65歳以上、技能習得中(雇用一定期間未満)、軽易作業に従事している方は適用外となります。
また、以下の労働者については、最低賃金の減額の特例が認められています。
条件として、使用者が都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試の使用期間中の方
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方引用:厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」
対象となる賃金は?
最低賃金の対象 :毎月支払われる基本的な賃金
最低賃金の対象外:残業代やボーナスなど
最低賃金の対象となるのは、毎月の基本的な賃金のみとなります。
そのため、最低賃金の計算を行う場合には、実際に支払われている賃金から、以下の賃金を除外したものが対象となります。
1.臨時に支払われる賃金
(結婚手当など)2.1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
(賞与など)3.所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
(時間外割増賃金など)4.所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
(休日割増賃金など)5.午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
(深夜割増賃金など)6.精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
引用:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」
まとめ
最低賃金制度とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定める制度です。
労働者の方も使用者の方も、最低賃金の計算方法は必ず確認するようにしましょう。