「最低賃金が上がるから、時給も上がった!」という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最低賃金の引き上げは、企業にとってはどのような影響があるのでしょうか。
今回は最低賃金の引き上げ、企業のメリット・デメリットとは?についてご紹介します。
最低賃金引き上げが企業に与えるメリット・デメリット
最低賃金が引き上がることによって、企業にはどのような影響があるのでしょうか。まずはデメリットから見ていきましょう。
最低賃金が引き上がった際のデメリット
最低賃金の引き上げにおいて、会社に大きな影響を与えるのはデメリットの部分です。
このデメリットの部分や、リスクをしっかりと把握しておき、事前に対策を行っておきましょう。
・罰則や罰金が科せられる可能性がある
・社員のモチベーションの低下
・人件費の増加
・従業員の確保が難しくなる
罰則や罰金が科せられる可能性がある
日本には、「最低賃金制度」という制度があります。
最低賃金法という法律に基づいて、国が賃金の最低限度を決めています。
雇い主はその最低賃金以上の賃金を支払わなくてはなりません。
仮に、雇い主と従業員の双方で最低賃金額以下の賃金の合意がされていたとしても、それは法律によって無効とされます。
最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
引用:厚生労働省「最低賃金制度とは」
社員のモチベーションの低下
最低賃金引き上げによる賃金アップは、
・企業への貢献度
・スキル向上
上記のようなポジティブな理由での賃上げではありません。
そのため、アルバイトやパート社員だけ賃金を引き上げるといった場合、正規社員が不平等に感じてしまったり、モチベーションを落としてしまったりする可能性が考えられます。
人件費の増加
最低賃金が上がると、人件費により多くの費用がかかってしまう、という企業も多いと思います。
賃金を増やさなければならない場合、従業員数や勤務時間の見直しなども必要になります。
また、「全国加重平均1,000円」を政府は目標として掲げています。
現在は問題が無くても、この目標の金額を考慮して人件費の負担を見直してみましょう。
最低賃金については、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、 「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す。
このような最低賃金の引き上げに向けて、中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。」とされています。
引用:厚生労働省「賃金 (賃金引上げ、労働生産性向上)」
従業員の確保が難しくなる
人件費の負担が増すことで、採用へのコスト投入も難しくなります。
また、周囲の企業も賃金を上げるため、賃金の見直しを行わないと従業員の獲得が難しくなる場合もあります。
最低賃金が引き上がった際のメリット
ここまでデメリットを見てきましたが、最低賃金の引き上げは、企業にとってのメリットになる側面もあります。
コストを見直すきっかけに
賃金の引き上げの際、人件費が膨らむことは避けられません。
そのため、それ以外のコストや採用コスト、生産性を見直す必要が出てきます。
これはデメリットのように見えますが、風景になっている部分を見直すきっかけともなるのです。
・実は必要なかったコストに気がついた
・節約可能な税金があった
・少人数でも回る仕組みを考えついた
・DX化による業務効率化
など、企業の全体に良い変化を与える可能性も十分にあります。
最低賃金引き上げに対する対策方法
最低賃金の引き上げは、これからもどんどん進んでいく予定です。
その中で企業は、どのような対策をとることができるでしょうか。
・従業員の労働時間を見直す、短縮する
・業務効率や従業員のスキル向上を図る
・設備投資を行う
・節税をする
従業員の労働時間を短くする、または業務効率化を図る、というのが大きな対策となります。
機械設備や労務管理システムの導入などの設備投資は、まとまった初期投資が必要になりますが、レンタルやリースといった手段を選択肢に入れることで工夫が可能です。
また、従業員の資格の取得を支援する制度を整備することで、スキルアップの促進やモチベーションアップにも繋がります。
これを機に、人件費以外のコストについても見直していきましょう。
まとめ
今回は最低賃金の引き上げ、企業のメリット・デメリットとは?についてご紹介しました。
最低賃金の引き上げは、企業にとってメリットもデメリットもあります。
日ごろから設備や環境、従業員の教育制度などを整え、業務の効率化を目指していくことが重要です。